【しいちゃん2】

 しいちゃんとかずみちゃんは、リング状に焼かれたハチミツケーキにホイップクリームをたっぷりとかけてもらいました。
やさしい甘さのふんわりとしたハチミツケーキをほおばりながら、かずみちゃんは今日学校であったちょっとした事件をしいちゃんのママに教えてくれました。
「今日ねぇ、ちょっと意地悪な子がいたの。あのね……」


 それは、2時間目の休み時間のことでした。
しいちゃんが『チューリップ』の歌を元気よく歌っていると、突然、廊下側の窓が開きました。
そして、よそのクラスの男の子が教室をのぞき込んできて、しいちゃんに向かって「変なやつ」と言ってからかい始めたのです。

 しいちゃんのそばにいたかずみちゃんとのりこちゃんは、すぐに「しいちゃんは変じゃないよ」と言い返しました。
でも、その子はしつこく「変だ、変だ」を繰り返します。
かずみちゃんとのりこちゃんは、お互いに顔を見合わせてうなずくと、大きな声でしいちゃんと一緒に『チューリップ』を歌い出しました。
すると、男の子は怒り出して『うるさい!』と怒鳴ると、教室に入って来ようと後ろのドアへと向かいました。

『こわい!』そうかずみちゃんとのりこちゃんが思った時です、教室にいた他の子たちもみんなしいちゃんのそばに集まって来ました。
そして、みんなでいっせいに『チューリップ』を歌い出したのです。
男の子はびっくりして、それから「ふんっ、変なクラス」と言うと、逃げるように行ってしまいました。


「こわかったけど、ちょっとおもしろかったよ、おばちゃん」
かずみちゃんは、その時のことを思い出して 楽しそうににっこり笑いました。

「そう……。ありがとう かずみちゃん。しいちゃんをかばってくれて」
しいちゃんのママがお礼を言うと、
「うん!」
かずみちゃんはうれしそうに大きくうなずきました。
そしてその隣で、しいちゃんは ハチミツケーキの上のクリームをおいしそうになめていました。



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