【ロビン、ロビン、ロビン♪ 3】



 パタパタパタ、フンフンフン。パタパタパタ、フンフンフン。
ラディはイモ虫いっぱいの場所を探して元気に飛び回ります。そして、『おっ、ここはどうかな?』と思ったところでまず一鳴き。
「ピーー、ピピピピピ」(おーい、ここはもう誰かのテリトリーなのぉ〜?)
すると何処からか同じロビンの鳴き声で返事があります。
「ツィー! ピッピ、ピピピィー」(おう! ここは俺んちだぞ〜)

『そかそか。ここはもう誰かのテリトリーなんだ』
「ピーチチチ、ピッ!」(了解。お邪魔様〜!)
ラディはそう鳴いて、その場所を諦めます。

 ロビンたちはこうやってまずは鳴き声だけでテリトリーの主の有無を確認するのです。そこですでにその場所が誰かのものだったら、後から来たロビンはたいがいはおとなしく引き下がって他を探しに行きます。でも、
「ふんっ! 俺はやるぜ! ここはめちゃくちゃ良さそうな場所だからな。腕ずくでも俺のテリトリーにするぞ!」
な〜んていう気の荒いロビンもたまにいたりします。そういう時は仕方ありません。もとからの所有者と壮絶なバトルが繰り広げられることになるのです。

 そして、ラディはというと……とってもおっとりしてのんきな性格のロビンです。当然、
『ボク、ケンカ嫌〜い!』
ということで、そんな強引なことにはなりません。それにまだ巣立ちしたばかりで体も小さく、どう考えてもおとなのロビンに勝てるはずがないと自分でもよ〜っくわかっていますしね。

 さて、こうしてラディが、あっち行って「ピピピピピ」、こっち行って「ピピピピピ」しながら、えさがいっぱいあってしかもまだ誰のテリトリーでもない場所を探して飛び回っているうちに、とっても広〜い庭のある家を見つけました。何本もの青々と茂った木に囲まれた庭には色とりどりの花々が咲き乱れ、ここならきっと美味しいイモ虫もいっぱいいそうです。

「う〜ん。さすがにこんないい場所にはもう誰かが住んでいるに決まってるよなぁ」
そう思いながらもラディは念の為、一声かけてみました。
「ピーー、ピピピピピ」(おーい、ここはもう誰かのテリトリーなのぉ〜?)

シーーーーン…………。

誰からも返事がありません。

「えっ! マジ? あっ、でも念の為にもう一回」
「ピーー、ピピピピピ」

でもやっぱり、シーーーーン…………。

「おおおおっ! やったぁ〜!」
なんと本当にここは空いているみたいです。ラディは大喜びでその庭の上を飛び回りました。

 でも、その時突然後ろから「ちょっと待てぇ、ラディ〜! ツィー、ピピピピピッチィ」と声がかかりました。
「えっ?」と振り返ると、ラディの一番上のお兄さんのケディです。

「あっ、ケディ兄さんだぁ〜! わ〜い、久しぶり〜!」
翼を振ってラディが出迎えると、ケディは少し呆れた顔で言いました。
「久しぶりって、おまえ。今朝別れたばかりだそ。……それよりラディ、ここは兄さんが先に見つけていた場所だ。ちょっと他にもいい場所はないか?って見に行っていたが、とにかくここはもう兄さんのテリトリーなんだよ。だから、おまえは他を探しなさい」

「えっ! ええぇぇ〜。やだよ〜。せっかく見つけたのにぃ」
ラディは不満そうにプクッと頬を膨らませました。これが他のロビン相手だったら、素直に引き下がるでしょうが、なにせ気心の知れた実の兄のケディ。しかも兄と言っても数日早く孵化しただけで大きさもラディとほとんど変わりません。さすがに今回はそのまま引き下がる気になれませんでした。

「うーん、仕方がない。それじゃ、勝負だ、ラディ。勝った方がここを自分のテリトリーにする。それでいいな?」
「う、うん」
『兄弟での勝負ならケガする前にやめられるはずだもん』
そう考えたラディは、兄の申し出を受けることにしました。そして……。




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