【彗星の旅 1】



 星々の間をぬって一つの彗星が旅をしています。
ブラックホールや巨大な恒星たちからの誘いも振り切って、その彗星は長い長い旅を続けているのです。

「ぼくの中には『命の種』が入っているんだ。
この『命の種』を生かせる星を見つけたいなあ。」
彗星はそうつぶやくと、キョロキョロと周囲の星々を眺めてまわります。

「あの星は……まだ火の固まりだ。
あっちの星は……カラカラに乾いていてだめだ。
こっちの星は……うーん、残念、もう生き物が住んでいる。」

 実は、彗星は まだ大気と海と陸地だけで生命の生まれていない星を探しているのです。
そうした星を見つけて、自分の中の『命の種』を与える。
それが自分の使命だと考えているのです。

「目的の星が見つかったら、ぼくはその星の海に飛び込むんだ。
ぼくはその星の一部になる。
そして、ぼくの中の『命の種』が海の水に溶け込んで、その星に……『生命』が生まれる。
うまく星に根付くことができるのか、どんな進化を続けてくれるのか、それがその星にとって良い結果を生むのか悪い結果を生むのか。
今まで旅の途中でいろいろ見てきたけれど、誰かがせっかく『命の種』を運んだのに失敗した星もたくさんあった。
ぼくの『命の種』もどうなるのか先のことは何もわからない。
けれど、それでも、まず始まることが大切なんだ。
何も生まれないよりは、何かが生まれる方がずっといい。
だから、ぼくはこうして旅を続けているんだ。」

 『命の種』を持った彗星は、新たな生命の誕生を夢見て、広い宇宙をグングングングン進んで行きました。


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