【海を渡る蝶 2】
キラキラキラ・・・・・・

「うわぁ〜、銀色の道が浮いてるぅ」
「すごい! キラキラ光って綺麗だぁ」
「ずっと向こうまで伸びているよ。どこまで続いているんだろう?」
イルカの子供たちは感動したように口々にそう言いました。

「もちろん、そこの迷い蝶たちの仲間のところまで続いておる。じゃが、そういつまでも魔法は続かん。さっ、急いであの銀の道を辿って仲間のことへ戻りなさい」
マンボウじいさんの言葉をきっかけに、流木の上に集まっていた蝶たちが一斉に飛び立ちました。
「ありがとう、不思議なお魚さん」
「ありがとう、親切なイルカさん」
「ありがとう、海のお友達」
口々に礼を言いながら、蝶たちはマンボウじいさんが出した銀の道の上を飛んでいきました。

「ああ、元気でな。まだまだ先の長い旅だ。二度と迷子にならないように注意するんじゃぞ」
マンボウじいさんも嬉しそうにそう言ってアサギマダラたちを見送りました。


「行っちゃった」
「うん。みんな行っちゃったね」
全てのアサギマダラが飛んで行ってしまうと、イルカの子供たちはお互いの顔を見合わせてホッとしたようにうなずきあいました。それから、また横一列に並んで
「マンボウじいさん、どうもありがとうございました」
と、マンボウじいさんに礼を言って頭を下げました。

「なんのなんの。それにしてもおまえさんたち、随分と親切なんじゃな」
マンボウじいさんが感心したように言うと、イルカの子供たちは
「だって、仲間は大切だもん」
「そうそう。ボクたちだって仲間とはぐれちゃったら、すごーく困る」
「うんうん。だから助けてあげたいって思ったんだ」
と、説明しました。それから、蝶の止まっていた流木をつついて嬉しそうに言いました。
「それに、蝶々さんたちがいなくなったら、この木で遊べるし」
「うんうん。遊べる、遊べる」
「そうそう。飛び越えたりくぐったりつついて回したり」

「あはは。そうか。その木で遊びたかったのもあるのか。まあ、なんにせよ、いいことをしたな、おまえさんたち」
そう言ってマンボウじいさんは楽しそうに笑いました。


「ワッセ、ワッセ」
みんなで遊ぶために、再び流木を押して帰っていくイルカの子供たちを見送ると、マンボウじいさんはまたのんびりと日向ぼっこ。

今日も一日いい日になりそうです。







          NOVEL       戻る   


    NEWVEL投票 よかったと思われましたら投票よろしくお願いいたします

女の子お絵かき掲示板ナスカiPhone修理